観ました?2022年大河ドラマの最終回。
伊豆の一豪族の姉弟が、姉がある流人に恋をしたことから運命が転がり始め・・・兄の「武士の世をつくる、その頂点に北条が立つ」という兄の望みを弟が受け継ぎ、ここまで来た。
たくさんの魅力的な人物が出てきましたね。多彩な人物が織り成してきた一年、その終わりが今日でした。
私が記憶にある一番古い大河ドラマは「草燃える」でした。私の両親は、朝ドラと大河は観るタイプで、ずっと観続けてきた中でも近年の「平清盛」「真田丸」「女城主直虎」は瞬きするのも惜しいくらい、力を入れて観てきました。そして今作。
早鎌倉・本鎌倉を観終わって、私の耳から政子の慟哭が消えない。
本当に魅力的は政子でした。私の中で「平清盛」で猪を背負って現れた杏さん演ずる政子から、小池栄子さん政子はつながっていました。優しく強い政子。「私を明日に連れて行ってくれ」と流人だった頼朝に言わしめた政子。
政子、という名は、政子が官位を授かった際に父・時政の「政」の「子」として朝廷が表した時から表記されるようになったそうです。だから、本当の名前は不明。なんて呼ばれたかも分からなかった女性が、「尼将軍」として歴史を動かしたのです。
ずっと源氏三代の末路を史実として知ってはいたけれど、なんで?という思いが消えなかった。もちろん、大河ドラマはフィクションが織り混ざってはいますが、この大河で納得できた気がします。(もちろん御所を京に移す、先帝暗殺計画などは史実ではありませんが)
政子に今まで粛清してきた人物を数え上げる小四郎。「ここまでで13人」と聞いた時、「えっこれでタイトル回収なの!?」って驚きました。合議制の13人じゃなくて〜?13人じゃ効かないだろ?って感じですし・・・
そして仰天したのが「政子には病死って言ってた」ってこと。政子は薄々気づいてはいたけど・・・政子にしたら、我が子と孫が死んでる、それも弟が関わっていた。それがしれっと弟が言っちゃった。しかも弟は悪びれもせず「昔の話」「薬取って」などと言ってくる。
そしてあろうことに「私にはまだやることがある、先帝を始末しないと」とのたまう。そして「太郎のため、太郎と輝かせるため」と。
政子、苦しむ小四郎に渡さず薬を床にこぼし、しかもそれを拭き取りましたね。そして繰り返した「あなたがこれ以上手を汚さなくても、太郎はやれる」という言葉。加えて「賢い八重さんの子」と。私はここで号泣してしまいました。そして「あなたに似ている」と。
きのこ問題が誰のせいか、ということにも決着がついたこの回でしたが、小四郎の「早く言って欲しかった〜」と呟いたあの感じ、伊豆での小四郎に戻ってましたね。この時の小四郎に、泰時はよく似ているではないですか。
「なんとかしろ」「なんとかしなさい」と言い続けられてきた次男坊。その時々で最善と思える道を、ガチガチに縛られなかでも取り続けてきて至った修羅の道。上総介も、畠山殿も、和田殿も、殺したかった訳ではなかった。父だって、追放なんてしたくなかった、最期を看取りたかった。
一番嫌な役をやってきたんだよね、小四郎。
「お疲れ様、小四郎」姉はそう声をかけて労った。私たちは長く生きすぎた、もういいんだよ、ちゃんとやってくれる、あなたの息子は。だからもう、お疲れ様・・・
これ以上、罪なき子どもを殺めることに、政子は耐えられなかったんだろうなと思います。一幡を亡くし、公暁を亡くし、三寅を引き取って育てていた政子には。
政子も義時が亡くなって一年後に亡くなっています。
あれほど粛清に反対していた政子が、最後に弟に引導を渡した重み。奇しくも、のえさんの言う通り「お姉さんに看取ってもらえ」が本当になったのですよね・・・
私が小学生の頃、図書館で「日本の偉人」という学習漫画の本がありまして。日本の偉人と呼ばれる人、100人の生涯が漫画見開き2ページに掲載されているんです。それには女性は10人にも満たなかったのを憶えています。すごく驚いたんですよね。10人しかいないの?!って。確かはっきり憶えているのが紫式部、樋口一葉、津田梅子あたり。(おそらく清少納言や持統天皇もいたんだと思いますが、はっきり憶えていません。)その中には北条政子もいました。
幕府を開いた偉人の妻が、政子ほどに名を遺している人は稀でしょう。政子の恋によって始まった鎌倉幕府。なんてドラマチックなんでしょう・・・でも頼朝が急死し、その後は「死ぬ・どんどん」と称された通り、しかも政子の息子2人は死に、孫も死に。父親は流罪、妹の夫も息子も誅殺。ちょっと耐えられそうにもないですね、私だったら。しかもやっているのは自分の一族・弟たちという。
今回、宮沢りえさん、新垣結衣さん、鈴木京香さん演じる美しく強い女性が多々出演しましたが、なんと言っても小池栄子さんが白眉でした。
彼女の温かみのある母性を感じる優しさと、強い瞳で頼朝を想い、鎌倉を支えたその姿に、大江殿でなくても推せる!!と感じた人は多かったのではないでしょうか。
頼朝を諫める政子、小四郎を鼓舞する政子、檄を飛ばす政子、そして最後の小四郎に言葉をかける政子。
キュートで優しく強く、すべてを受け止めても善であろうとした政子。
「平清盛」の杏さんの政子を観て、ぜひ政子の大河を観たいと思ったのですが、今年の大河、本当に満足しました。
毎週日曜、「もう観たくない、でも観たい」と思う大河は初めてでした。
三谷幸喜さんという稀代の脚本家の、1年かけた政子と小四郎の物語。充分に堪能させていただきました!
「吾妻鏡」が愛読書だったという家康、MJ演じる「どうする家康」も楽しみにしています!