親の介護

介護〜助けてくれていた親を助ける番になったとき

父の介護

私たちの親の介護が始まったのは、2018年の冬、父の在宅酸素療法が始まった時でした。

それから2年、少しずつ身体の機能が弱っていく父を、朝夜は同居している私が、昼は近くに住む姉が来てお世話をしていました。

週一回の入浴に、訪問看護のナースさんが来てくださり、一度訪問介護もお願いしましたが家族で介護することにしました。メースさんのお陰で、入院するまで自宅で入浴をすることが出来ました。

父は昭和16年生まれ、79歳で亡くなりました。

最後は病院で約3週間入院し、急変して子どもたちがいなかった時に息を引き取りました。その時、誰もいなかったということは、長らく私を苦しめました。

入院直前に、目が見えなくなってきて食事を自分で食べられなくなるまで、好きなものを口から食べて、息が切れてもトイレに歩いて行き、ポータブルトイレを導入したので少し手伝うことはあっても、自分で済ませていました。

食事、トイレを自分でしてくれていたので、私たちの負担はそんなに重くはなかったと思います。

でも「介護の必要な人がうちにいる」というのは常に頭にあって、それは父が亡くなるまで消えることはありませんでした。ずっと気持ちが張っている。そして、それはいつ終わるのかが分からない。

それが介護です。

フミさんとツトムさん

姉の義両親、フミさんとツトムさん。

ツトムさんは昭和7年生まれの今年90歳、フミさんは2歳下の昭和9年生まれの今年88歳。都内で暮らしてきましたがツトムさんがリタイアした30年前に、千葉の温暖なリゾート地に居を移し、ゴルフ三昧の悠々自適な生活をしてきました。

移住当時は父の介護をしていましたが、看取ってからは夫婦二人での生活を続けてきました。

姉夫婦は度々様子を見に行っていましたが、ある時、お母さんが朝から晩までずっと某アーティストのDVDを観ている様子に違和感を感じました。

それが始まりで、行く度に受け答えが覚束なくなってきて、ふたりともボーッとしていることが多くなり、ヘルパーさんに入ってもらうことにしました。

それから半年ほど経った2017年夏、市役所から姉に連絡が来ました。すぐに千葉に向かった姉夫婦は、痩せて入浴もしていない両親の姿に驚きました。

お母さんは日中、日向で座って外を見ているそうで、真っ黒に日焼けしていました。入浴をしていない二人からは異臭が漂っていました。

その時、ディサービスに行ってなかったのはなぜか、ヘルパーさんに入浴介助をしてもらってなかったのか、よく分かりませんが、姉はそのまま両親を連れて帰ってきました。義兄は「とりあえず今日のところは帰ろう」と言ったらしいですが、「置いてくるわけにもいかないでしょう」と。

それからマンションの和室を開け、地域包括センターに連絡し、ケアマネジャーに介護計画を立案してもらい、介護認定を受け(その当時はふたりとも要介護1)介護用ベッドを導入し、ディサービスに見学に行き、週3回通わせてもらうことになりました。

ディサービスに行くまでの間、私がお母さんの入浴介助をしていました。かなり2週間以上、お風呂に入ってなかったのではないでしょうか。今はふっくらしてツヤツヤしたお顔になっています。

ツトムさんは心筋梗塞をしたことがあり、心機能に不安があります。いつもテレビを観ながらノートにメモを取っています。お喋りが好きで、お寿司を目の前にしてもずっと話をしているような人でしたが、最近はボーッとすることが増えてきました。

フミさんは糖尿病を患っていて、今は姉が食事前に注射をしています。そのせいか、トイレに頻繁に行き、おしもの方が心許なくリハビリパンツを履いています。いつもニコニコしていて、穏やかな人柄です。血圧が高く、時折最高血圧200越えを叩き出すので、薬は欠かすことなく飲まないといけないのですが、たまに出してあるお父さんの薬を飲んでしまいそうになったりします。トイレに行くたびにリハビリパンツを履き替えてくるので、トイレにはリハパンのタワーが出来るそうです。

同居して3年。ほんの数回ですが、姉がいない時にマンションの向かいのスーパーに買い物に行ってしまっていなくなってしまったことがありますが、徘徊はありません。

ディサービスに行かない時は、ふたりでリビングのソファーに座ってテレビを観ています。食事は朝6時、昼11時半、夕17時に出していて、お母さんがソワソワして冷蔵庫の中のものを食べてしまうので、食事時はほぼ必ず姉は在宅しています。

そんな生活を送っていますが、最近、お父さんの様子が変わってきました。

最高血圧が80を切ることが多くなり、食事も摂らずに寝ていることが増えました。起こしても起きずに、コンコンと寝ているようです。

靴下を履くにも息が切れるようで、姉が履かせるようになりました。

お父さんももう90歳。姉は不安に思っているようです。

姉のことも少し。姉はお父さんたちを引き取った年の年末年始、めまいがひどくなり、入院しました。今も少し無理をすると、めまいがしてきてしまいます。めまい姉妹の私たち。

元々姉は身体が強くないので、心配だったのですが、介護生活も2年経ったくらいから、頭痛がひどくなり、血圧が180くらいになってしまったので、血圧を下げる薬を飲み始めたところです。そのせいか、頭痛薬を手放せなかったのですが、今は頭痛がすることが減ったそうです。

姉は今50代に入ったところ。義兄は3歳上です。娘は今年から大学生。

義兄も仕事を休んで通院の付き添いをしてくれますが、都合がつかない時は姉一人で両親ふたりを連れて行くこともあります。これがなかなか大変だそうです。

お母さんは最近、食事したことを忘れてしまうし、お父さんは支えがないと歩けなくなってきたので、車椅子。

これから在宅診療に切り替えて行くことになりますが、ここに記録をしていきたいと思います。

追記 これから1週間後にツトムさんは自宅で家族に看取られ、亡くなりました。